『カラフル』森 絵都(文春文庫)

1時間20分ぐらいで読了。bgmはyoutubeの雨の音。

すーっと読める。最後のオチは予想できたかな。それでもいいお話だった。

小林真の父母に対する最初の印象は、多感な時期に読めば”不潔”と捉えるのだろう。

不倫をする母は不潔だし、上司の逮捕を前転して喜ぶ父も不潔。

25の私は小林真ほど彼らに嫌悪は抱かなかったな。

不倫は最低だけど。上司の逮捕、めちゃくちゃ最高だよね。いい職場に恵まれないと上上司の不幸って密の味、というか気分爽快というか。積もり積もったそれまでがあるからね。うん。

兄・満。姉妹がいないのでここら辺の感覚はわからない。あんな暴言(今度こそきっちり自殺しろよ、的な)吐くのはアウトでしょ。物語の中盤・終盤の言動は立派なものだったけど、もう受け入れられなかったな。アウト。

ひろかちゃん、不安だな-。援交?はやっぱりやめたほうがいいんじゃない。ダサくない?

 

p.234の場面。鮮やかにたくさんの構図で想像できた。想像しやすかった。好きな場面。プラプラが傘を放り投げる。きっとその顔は満面の笑み。放り投げる様も想像できる。万歳だな。バンザーイで傘を放りなげる。私に絵の心得があったらこの場面を描きたい。ぐるんと天地がかわる視点。いいな。これまでの内に内にの方向性(物語の方向性・小林真の方向性)が一気に外へ。爆発するように。霧散する。いい。謎が解ける。清々しい場面でした。

 

☆生きてて身動き取れなくなったとき思い出す言葉

「ホームステイだと思えばいいのです」

「ホームステイ?」

「そう、あなたはまたしばらくのあいだ下界ですごして、そして再びここにもどってくる。せいぜい数十年の人生です。少し長めのホームステイがまたはじまるのだと気楽に考えればいい」

「下界でまた気持ちが縮こまりそうになったら、再挑戦の四ヶ月を思い出してください。自分で自分を縛らず、自由に動いていたあの感覚を。そして、あなたを支えてくれた人たちのことを」

 

ホームステイ。うんうん。この世はホームステイ。やりたいようにやろう。恥なんか掻いて掻いて掻きまくろう。よっしゃー!